
●この記事のポイント
・販売支援向けBPaaSは、販売業務全体の効率化と高度化を実現す業務支援ソリューション
・必要な機能をオンデマンドで利用可能にするため、コスト面・運用面でのハードルを大幅に下げる
・注目の販売支援BPaaSサービス5選とは
企業の販売活動は、顧客管理から受注処理、営業進捗管理まで多岐にわたり、効率化が経営課題となっている。そんな中、注目を集めているのが「販売支援向けBPaaS(Business Process as a Service)」だ。クラウド上でビジネスプロセスをサービス化し、販売業務全体の効率化と高度化を実現する最新の業務支援ソリューションである。
販売支援向けBPaaSの意義
従来、販売管理システムや営業支援ツールは自社内でのシステム構築や複雑なカスタマイズが必要で、初期コストや運用負荷が大きかった。しかしBPaaSは、クラウド環境に業務プロセスを組み込み、必要な機能をオンデマンドで利用可能にするため、コスト面・運用面でのハードルを大幅に下げることができる。さらにリアルタイムの情報共有や営業活動の可視化により、営業組織の意思決定スピードを加速させる点も大きなメリットだ。
注目の販売支援BPaaSサービス5選
ここからは、国内で利用可能な注目すべき販売支援BPaaSサービスを紹介する。
1.Salesforce
業界最大手のCRM/SFAプラットフォーム。顧客管理から商談追跡、営業予測まで豊富な機能を持ち、あらゆる業種・規模に対応。多数の連携アプリも魅力。
2.Microsoft Dynamics 365 Sales
Office製品との連携が強力なクラウド営業支援。見積作成や顧客分析に優れ、Microsoft 365ユーザーにとって導入のハードルが低い点でも人気。
3.SAP Sales Cloud
大企業向けの販売支援に特化。複雑な販売チャネル管理や販売計画、インセンティブ計算まで包括的にサポートする。
4.Kintone
ノーコードで営業管理アプリをカスタマイズできるプラットフォーム。業務に合わせた柔軟な運用が可能で、現場での使い勝手の良さに定評がある。
5.Sansan
名刺管理を基盤とした営業支援サービス。営業ネットワークの可視化と情報共有を促進し、新規開拓や顧客フォローの効率を高める。
販売支援向けBPaaS導入時の留意点
販売支援向けBPaaSの導入は、営業担当者の業務負担が軽減されるだけでなく、営業活動の質が向上し、売上拡大にも貢献する。特にコロナ禍でリモートワークが増えた中、クラウドベースのBPaaSはどこからでもアクセスできる点で利便性が高い。今後もAIやデータ分析を活用した高度な営業支援機能の追加が期待され、販売現場のデジタル化はさらに加速すると見られる。
しかし、導入に失敗したケースや予期しづらい運用課題も散見される。例えば、多機能なサービスでも標準仕様が自社に合わない場合、運用面での負担や効率低下を招く恐れがある。また、クラウドサービスを活用する以上、顧客情報や営業データのセキュリティ体制を厳しくチェックし、情報漏洩リスクを最小限に抑えることが不可欠だ。さらには、営業現場の担当者が新たなシステムをスムーズに使いこなせるよう、操作教育や運用ルールの整備、定期的なフォローアップも重要となる。
コスト面でも、BPaaSは初期投資を抑えられる一方、月額料金制やユーザー数による従量課金体系が多く、長期的な活用や機能拡充でコストが増加する懸念がある。導入から運用までの総コストを長期視点で試算し、費用対効果(ROI)をしっかりと把握することが肝心だ。
留意点を踏まえた上で、戦略的にBPaaSを選定・導入すれば営業の効率化と売上拡大を実現できる。販売支援向けBPaaSは、単なるITツールの提供に留まらず、営業戦略や組織運営の改革を後押しする重要な武器だ。これからの競争激化の時代、企業の販売力強化に欠かせないソリューションとして一層注目を集めることになるだろう。
(文=齋藤めぐみ/有限会社リーゼント、ライター)