経理業務の効率化と業務負荷低減を実現するBPaaSとは?主要サービス3選と導入のポイントの画像1
「Unsplash」より

●この記事のポイント
・BPaaSが経理業務の新たなソリューションとして注目されている
・定型的な経理業務を専門家に委託しつつ、リアルタイムでのデータ管理や法令改正への対応をクラウドで実現
・代表的な経理業務向けBPaaSサービス3選とは

 企業のデジタル化が急速に進む中、経理部門も効率化と高度化の両立を迫られている。従来の経理業務は煩雑で専門性が高く、人手不足や業務負荷の増加が課題となってきた。こうした背景から、クラウド技術とアウトソーシングを融合させた「BPaaS(Business Process as a Service)」が経理業務の新たなソリューションとして注目されている。BPaaSは、定型的な経理業務を専門家に委託しつつ、リアルタイムでのデータ管理や法令改正への対応をクラウドで実現するサービスであり、企業の経理体制の改革に貢献している。本記事では、BPaaSの仕組みと特徴を整理し、主要なサービス事例を紹介する。

 BPaaSは、クラウド上で業務プロセスを提供し、ソフトウェア(SaaS)と専門家による業務代行(BPO)を組み合わせたサービス。経理分野では仕訳入力、請求書発行、支払管理、財務報告、税務申告など、専門性が高い一方で繰り返し作業の多い業務に適用される。これにより企業はノンコア業務の負担を軽減し、戦略的な業務にリソースを集中できる。

【BPaaSの主な特徴】
・クラウド活用:データを一元管理しリアルタイム更新。法改正にも自動対応
・専門家サポート:経理・税務のプロが業務を代行し高精度な処理を実現
・柔軟なコスト体系:サブスクリプションや従量課金で初期投資を抑制

 世界のBPaaS市場は急成長を遂げており、国内でも人手不足やDX推進の追い風を受けて導入が拡大している。

BPaaS導入のメリットと注意点

 BPaaSを導入することで得られる最大のメリットは、経理業務の効率化だ。クラウド技術と専門家の代行により、従来手間のかかっていた作業時間を大幅に短縮できるだけでなく、人的ミスも削減できる。また、自社で経理システムを構築したり専門人材を採用したりするコストを抑制できるため、経費面でも貢献する。さらに、クラウド上で経理データを一元管理することで、必要な情報を迅速に把握でき、経営判断のスピードアップにもつながる。

 一方で、クラウドサービスを利用するため、データの漏洩や不正アクセスなどのセキュリティリスクに十分配慮しなければならない。また、特定のBPaaSサービスに依存すると、将来的に他社サービスへの移行が難しくなるベンダーロックインの問題にも要注意だ。さらに、標準化されたサービスのため、企業独自の複雑な業務要件に対応しきれず、カスタマイズに制約が生じる場合がある点も留意する必要がある。

代表的な経理業務向けBPaaSサービス3選

 次に、国内の代表的な経理業務向けBPaaSサービスを紹介しよう。

1. freee受取請求書アシスト
 クラウド型経理アウトソーシングサービスで、AI-OCRと専門スタッフが請求書処理を効率化。紙・PDFの請求書を自動データ化し、freee会計と連携。電子帳簿保存法・インボイス制度に対応し、支払管理も自動化可能。業務負担軽減と法令遵守を実現する。
 https://www.freee.co.jp/bpaas/ac/

2. マネーフォワード おまかせ経理
 中小企業向けの経理BPOサービス。AIとクラウドを活用し、記帳、請求書発行、支払管理、給与計算などを代行。最短5営業日で月次試算表を提供し、経営の可視化を支援。専門家によるサポートで、法改正対応や業務効率化を実現し、経営者が本業に集中できる環境を構築する。
 https://biz.moneyforward.com/campaign/keiri_bpo/

3. 奉行V ERPクラウド会計
 OBCが提供するクラウド型会計システム。財務会計・管理会計を一元管理し、AIによる自動仕訳やデータ連携で経理を効率化。電子帳簿保存法・インボイス制度に対応し、法改正も自動更新。Microsoft Azure基盤で高セキュリティを実現し、中堅・上場企業のDX化を力強く支援する。
 https://www.obc.co.jp/bugyo-v

導入成功のためのポイント

 BPaaS導入の際には、自社の経理フローに合致したサービス選定、セキュリティ対策の徹底、サポート体制の確認、コスト透明性の確保が重要となる。また、今後はAIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用により自動化の精度が向上し、法改正対応の負担軽減も期待される。以降もますます、国内市場では人手不足やテレワーク普及を背景に、BPaaSが経理業務改革の中核ツールとして位置付けられるだろう。

(文=齋藤めぐみ/有限会社リーゼント、ライター)