情シス不足の中小企業を救うか──デジタルハックとkubellストレージが新サービス開始の画像1

「情シス君」×「セキュアSAMBA」で業務代行と基盤を一体提供

 中小企業における「情シス人材不足」という構造的な課題に対応するため、株式会社デジタルハック(東京都港区、代表取締役・中山賀智)と株式会社kubellストレージ(東京都港区、代表取締役社長・中 哲成)は9月10日、情報システム部門を包括的に支援する新サービスの提供を発表した。両社が展開する「IT顧問 情シス君」とオンラインストレージ「セキュアSAMBA」を組み合わせ、情シス業務の外部化と基盤整備を一体でサポートする狙いだ。

中小企業に深刻化する“情シスの空白”

 国内企業の約99.7%を占める中小・中堅企業では、専任の情シス担当を確保できないケースが多い。クラウド導入やSaaS活用、セキュリティ対策など、IT課題が増加する一方で、人材不足や属人化リスクが深刻化している。

 その結果、導入したシステムの定着が進まない、セキュリティガバナンスが不十分になるといった問題が顕在化している。今回の協業は、こうした“情シス空白地帯”を埋める取り組みといえる。

協業の狙いと提供内容

 新サービスでは、kubellストレージの「セキュアSAMBA」による堅牢なストレージ環境と、デジタルハックが提供する「IT顧問 情シス君」の代行業務を連携させる。さらに、スターティアグループ(スターティア株式会社、スターティアレイズ株式会社)とも連携し、日常的なヘルプデスクからIT統制支援まで幅広い業務に対応できる体制を整える。

 具体的には、以下の機能が提供される:

 ・SaaSアカウントやIT資産の管理
 ・セキュリティ設定や運用サポート
 ・ヘルプデスク対応
 ・情シス業務の一括アウトソーシング

 これにより、顧客企業は「人材不足解消」「IT統制の強化」「属人化リスクの低減」「コア業務への集中」といった効果を得られる見込みだ。

資本関係と協業の必然性

 両社はすでに資本関係を持つ。kubellストレージの親会社である株式会社kubell(旧・Chatwork)は2023年6月にデジタルハックへ出資しており、以降、連携を深めてきた。今回の協業は、その延長線上にある取り組みといえる。

 kubellストレージは累計8,000社以上に「セキュアSAMBA」を提供する実績を誇り、デジタルハックは中小企業向けの情シス業務代行で経験を積んできた。両者の強みを掛け合わせることで、中小企業にとって現実的かつ安心感のある情シス支援が実現する。

成功のカギと今後の展望

 ただし、新サービスの定着にはいくつかの課題が残る。

 ・ユーザー企業側の“自前志向”による抵抗感
 ・多様な業種・業務に応えるサービス品質の維持
 ・インシデント発生時の責任範囲の明確化
 ・サービス拡大に伴う人材確保

 こうした課題をクリアしつつ、「ただのアウトソーサー代替」から「経営に寄り添う戦略的パートナー」へと進化できるかが、両社の次なる勝負どころとなる。

 DX推進やセキュリティ対策が待ったなしの状況にある中小企業にとって、情シス業務を“丸ごと任せられる”外部パートナーの存在は魅力的だ。デジタルハックとkubellストレージの協業は、IT人材不足を背景に拡大する「情シスアウトソーシング市場」の成長を占う試金石となるだろう。